よるべない人物紹介その1の続き。
きくちまゆこについて。
きくちまゆこはいつも何か食べている。
おにぎりとかサンドイッチとかリンゴとか、軽食のようなものを常に携帯していて危機意識が高い。
初めて会ったときも青い部屋のピアフの写真の前でおにぎりを食べていた。
稽古場のピアノと壁の隙間にはまり込んでサンドイッチをほおばっていたこともある。座敷童子のようだ。
常に淡々として見えるが中でものすごいものがとぐろを巻いている。
ヘビだかなまずだかツチノコだか何だか分からないがとぐろを巻いてふつふつとしている。
冷静な面構えに安心していると不意にパンチが飛んでくる。
突飛なジャンプに腰が抜ける。
理性と野性の同居するこの座敷童子にここにいて欲しいと思う。
座敷童子が真っ黒い、大きなグランドピアノの前にちんまりと座って鍵盤に指を落とす。よるべない女たちの幕が開く。
ほら、おいで。
おにぎりここに置いとくからさ。