旅の顛末(その参)

今年のことは今年のうちに!!
忘れもしない9/11、私たちはニューヨークに降り立ちました。
着いたのは夜で、空港から街へ向かう車の中で、グランドゼロから上空にまっすぐに伸びる光を見ました。
ここでの上演劇場はジャパンソサエティ。日本の文化を紹介する為に作られた、額縁舞台の立派な劇場です。
しかしこの小屋、音の響き方が今まで上演したどの劇場とも違うのです。あそこにはきっといたずらな小悪魔が棲んでいる。
その小悪魔にからかわれ、初日、ラストシーンでハプニングが起きました。
今までに一度もなかったことで、ラスト、暗転した瞬間には頭まっしろ。
二日目。前日の失敗を踏まえて念入りなリハーサル。何とかつつがなく。
三日目最終日。
この日は朝から私は気持ちがはやってはやって仕方ありませんでした。早く舞台に立ちたくて、本番を迎えたくて仕方がない。
今日はきっときっととてもうまくいく。そりゃあもう確信しました。

確信

キャンディーズ看板前で確信する私。

ちなみにこちらがジャパンソサエティ。

ジャパンソ\サエティ

張りつめた中に強い勢いを孕んだ上演だったと今でも思う。
一人一人のエネルギーがぶつかって呼応して膨らんでいく。
タイミングがかちっかちっと合ってのぼっていく。
黒光りして勇ましく進んでいく機関車のように。
上昇気流に乗った鳥のように。
はしる。はしる。のぼる。のぼる。踊り続ける。
高く、高く、先へ、先へ、
腕を、伸ばして伸ばしてその先に手が届きそうになったところで、
あの小悪魔がにやっと笑った。
伸ばした腕は空をかすって膨らんだエネルギーは霧散した。
そうして最終日は幕を閉じた。閉じたくなかったけど、閉じた。
行き場を失ったエネルギーは小さい粒になってもやもやと体の周りにまとわりついて晴れることがなかった。

2007年3月に、大阪、東京公演がある。
二年以上の歳月をかけて、三回のプレビューと五カ所の海外上演を経て来たこの作品の旅が、ここでひとつ区切りを迎える。
ニューヨークのあの日のその先を、見てみたいと思う。

コメント/トラックバック:0 個 »

この投稿へのコメントの RSS フィード。 TrackBack URI

コメントする

Line and paragraph breaks automatic, e-mail address never displayed, HTML allowed: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

(必須)

(必須)