Chalon dans la rue 新聞記事

chalon
今年七月、フランス・シャロンスールソーヌのフェスティバル“Chalon dans la Rue”に出演した時に掲載された新聞記事です。

初めてのヨーロッパの大きなフェスティバルへの正式参加となったのがこのChalon dans la rueでした。
初日。
会場は石造りの建物に囲まれた広めの中庭。
そこにみっちりと人々が集まっていました。
緊張していないつもりだったけど、多分緊張していたと思います。
ドキドキ、というよりフワフワとした感じ。
みっちり詰まったお客さんのリアクションはあまりありませんでした。
人が、近いのに遠くて自分が一人だけ真空の中にいるような気がして、初めはちょっと足掻いたけども途中からは諦めて淡々とやりました。
終わって、じっとりと落ち込みました。
(この時PAを担当していたマチルダはステージ袖、生い茂る葉っぱの陰の卓からの操作だったのでお客さんの様子は全く見えなかったそう。)
明けて翌日、昼食を取りに食堂へ行ったところ、友人にこの記事のことを教えられ、訳して貰いながら読みました。
喜ぶマチルダたちを尻目に私はこの時は何だか全くピンと来なくてぼんやりしていたのだけど、その日の夜中、みんなが寝静まったあとで一人ホテルの窓から夜空を見上げていたら、ようやっとじわじわと喜びがこみ上げて来て、月に「パオーーン!」と叫びたい気持ちになりました。恐竜的時間差。
その時のマチルダレポートはこちら
「バーバラビットのChalon dans la rue」
以下にフランス文学研究者の片山幹生さんのご厚意で翻訳して下さったのものを掲載させて頂きます。
(片山さん、ありがとうございます!)

バーバラ村田朋未 パントマイム/マリオネット
マリオネットは私自身です
[写真]
[キャプション]バーバラビットとそのパートナーは、人形使いの表現の枠組みに変化をもたらす
日本の女性パントマイム演者、バーバラ村田朋未のユーモラスな一人芸《バーバラビットのキャバレー》に、シャロンの観客は感嘆し、魅了された。
東洋の洗練された芸術的表現がもたらす甘美な喜びを想像して欲しい。
そこにヨーロッパ風のロマンチシズムと気の利いた洒落とユーモアをちょっと加えるのだ。
三十分のあいだ、あなたはマリオネットとパントマイムを組み合わせた表現が作り出す詩的な息吹を感じることができるはずだ。
ピンク色のコルセットを身につけたバーバラビットは、ルイス・キャロルの本のイラストから飛び出たようなウサギだ。
彼女は袖口から小道具をとりだし、いくつかの手品を披露する。しかしすぐにこのウサギは取り出したワインを飲んで酔っ払ってしまう。
酔っ払いのぎごちない幻想の場面が始まる。
彼女はゆらゆらと身体を左右に揺らして動き、若くてハンサムな男の子たちの目の前でガーターベルトを鳴らしたりしてふざけている。
それからこのウサギはたちまちのうちに自分のパートナーを作り出す。
そのパートナーは、袖無しのマントを身にまとっていて、ダリ風のひげを生やし、丸メガネをかけた男の人形だ。
本当の魔法の時間はここから始まる。
このパートナーの人形の動きは実に見事な躍動感がある。ダンスをリードしているのは、ウサギではなくこの人形なのだ。
バーバラビットと人形の二人のあいだで繰り広げられる喜劇的やりとりの数々はこのスペクタクルのエッセンスではない。
このスペクタクルで味わうべきなのは、このロマンチックな接ぎ木に生命を吹き込んだアーティストの驚異的な才能である。
彼女は華奢な身体をしなやかに動かすことで緊張感ある表現を作り出し、演劇的な物語を展開させる。
このスペクタクルはゆっくりと時間をかけて私たちを魅了していく。
そして最後には、美しいアーティストが見せる日本の洗練された技芸に、観客は彼女の才能を認めないわけにはいかなくなるはずだ。
マリオン・ペフェール
エヴェシェ中庭広場、(11)、毎日19時より。

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コメント

  1. フランスの広場で、私も大好きなバーバラさんのパフォーマンスが、詩的に叙情的に繰り広げられる様を想像しました。
    良い記事ですね。よく見ていてくれてる方がフランスにもいるんだなぁと嬉しくなりました!

    Comment by ゆみい — 2012年12月9日 @ 12:33 AM

  2. バーバラ村田さん、カッコイイ。さすが!!

    Comment by Chang — 2012年12月10日 @ 11:02 PM

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